杜子春
杜子春は、貧しい生活と母親を故郷に残し、唐の都洛陽にやって来ました。見知らぬ土地でお金を盗まれ途方に暮れていますと、そこに鉄冠子と云う仙人があらわれます。「お前の望みを一つだけ叶えてやろう」杜子春は答えます。「お金が欲しい」と・・・。
望み通り、杜子春は洛陽一の豪華な生活を送りますが、やがてお金を使い果たし無一文となりお金の虚しさを知ります。再び目の前に現れた鉄冠子に、杜子春は今度はこう言います。「仙人になりたい」と・・・。
杜子春は鉄冠子の弟子になります。
修行の為、峨眉山に一人残された杜子春は、どんな恐ろしい目にあっても一言も口をきかず、無言でじっと耐えなければなりませんでした。しかし、最後に地獄で母親が鞭打たれるところを見て、ついに禁を破ってしまうのです。
「お前があのままでいたなら、私は、お前を見捨てただろう」と鉄冠子は打ち明けます。杜子春は仙人になれませんでしたが、苦しみながらも杜子春を思う母親の心を知り、人間にとってなにが大切かと云うことを学んだわけです。
原作:芥川龍之介
上演時間:80分
高学年(4年生〜6年生)向け作品
芥川の創作童話に共通している点は、教訓を教訓くさくなく巧みにとりいれ消化を充分にして子供たちを堪能させてしまうことにあるようです。この作品には、芥川の特色が余す事無く盛り込まれています。